鳩のキャラクターが最期にみたものとは？

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二つの忌み名

人間が思う鳩の呼び名は二つ。
一つが「平和のシンボル」もう一つが「空飛ぶネズミ」
この鳩に与えられた生涯は後者でした。

雑踏の片隅で

都会の公園でこの鳩は生まれました。４羽の兄弟卵がいましたが、一つの卵は大雨による巣からの転落。３羽は無事ふ化しましたが、１羽は親鳥からうまく餌がもらえず餓死。もう１羽はカラスの襲撃をうけ死亡。結局巣立てたのはこの鳩１羽のみでした。
巣立てたからといってそれから幸せな生活が待っているわけではありません。むしろ生存戦略のスタートに立たされただけです。餌を求め人間に近づくも追い払われ、子どもには石を投げられる。灼熱の夏、極寒の冬の気温にも耐えねばなりません。それでもこの鳩は生き抜きました。

ある日、都会に増えすぎた鳩の駆除が人間によって敢行されました。網で捕われ保健所に運ばれる大量の鳩の中にこの鳩はいました。

ガスが充満した収容所。薄れていく意識の中で鳩は思いました。

「今までただ自分が生きる事だけを考えていた。誰かのためなんて考えた事なかった。生まれ変わったらその感情を持ちたいな。」

卵の転落は不可抗力にせよ、親鳥からもらう餌を１羽の兄弟に譲らなかったこと。カラスの襲撃時、もう１羽の兄弟を盾にして凌いだこと。２羽の兄弟を殺したのは自然の掟とは言え確かにこの鳩でした。

懺悔の念と共に、鳩は輪廻の渦に飲まれました。次は地球上でもっとも感情を多く持つ生き物、「人間」になる事を願って。