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黒いダイヤ

オオクワガタ。通称黒いダイヤ。
以前ほどのブームは治まったとはいえ、マニアの間では今日もまた高値の取引が行われている。
買うマニアがいるという事は売る業者もいるという事。今回はそんなお話。

既視感

山梨県韮崎市。ここはマニアの間では有名な日本の三大クワガタ聖地として知られている。
そこに生息するクワガタの中で頂点に君臨するオオクワガタ。

「この前あいつがやられたよ。まだ若かったのにな…。」

最近はまたこの地で、希少昆虫業者たちによるオオクワガタの乱獲が相次いでいるようだ。

私利私欲のため、成虫はもちろん未熟な幼虫までも。

居場所がなくなる危機感を覚えたオオクワガタたちは夜な夜な会議を開いた。

「どうやって戦う」
「俺人間の偵察に行った時見た事あるんだ」
「なにを」
「なんか手足につけて殴り合ってた」
「人間と殴り合うのか」
「馬鹿げてる」
「でも強くなるしかないじゃないか。他になにかあるのか？」
「…」

この地のオオクワガタたちは、それぞれ木の実で作ったグローブを装着しボクシングを始めた。




「というのが私の憶測だ。正直無理やりな話に聞こえるかもしれないが、上の写真が何よりの証拠だ」

一世を風靡し昆虫学者の鬼とまで呼ばれた西田氏の講演会に俺は訪れていた。
オオクワガタがボクシンググローブはめてファイティングポーズとってる、あきらかなねつ造写真を掲げ意気揚々と語る姿を見て俺はふと思った。


「これなんのデジャヴ…？」

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