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2014.03.05(Wed) ゆるキャラ
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この包丁、見覚えありませんか?
そうです。以前描いた、中華キャラクターが持っていた菜切り包丁です。
料理人たちの魂がこもると言われる包丁。有名な料理人が天に還る時、愛用された包丁は包丁塚と呼ばれる地へ奉納されます。
その一つにこの包丁はありました。しかしこの包丁は悔やんでいました。
「彼とまだ料理がしたい…」
この怨念とも言える強い念は、その包丁を付喪神(つくもがみ)に変えました。
付喪神とは、長い時間を経て健在であり続けた器物や生き物などに霊魂が宿ったもの。霊魂が宿った動機によっては人に災いをもたらすと言われています。
皮肉なことに、付喪神化を防ぐための包丁塚に入ったことにより、この包丁は付喪神となってしまったのです。
付喪神と化した包丁は、多数の料理人たちの調理の邪魔をしました。自分以外の包丁が揚々と仕事をしているのが許せませんでした。
ある日、一人の料理人の店に忍び込み悪事をはたらこうとした時です。背後に忍び寄った瞬間、その料理人が口を開きました。
「百年に一年足らぬつくも髪 我を恋ふらし面影に見ゆ」
(たいそう年を取った老婆の幻が見えるよ。きっと僕の事を想う心が形をとって現れたのだろうな)
包丁はその場で呆然としました。と同時に溢れんばかりの涙が視界をかすめました。
その料理人は包丁の主の霊でした。
包丁は、長年にわたり災いを繰り返すあまり本来の心は消え、主の顔すら忘れていました。
相棒の悪事が気になっていた主は未だに成仏できず、シビレを切らし包丁の前に現れたのでした。
包丁はかすんだ視界の中で、客席に座る一人の女の子を見ました。歳は14、5歳といったところでしょうか。
主は包丁に告げました。
「次はお前があの子に料理を教えてやれ」
主が連れて来たその女の子は、実家が中華料理店を営む料理人の卵でした。
主は包丁に思いを伝え、ゆっくりと消えていきました。
そして、包丁と彼女の道はこの日から始まりました。
数年後、彼女は名実共に認められた凄腕シェフとして、東京幡ヶ谷に中華料理店をオープンさせます。
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